Aperport機能紹介

Aperport:評価機能について

作成者: 唐澤裕智|Mar 18, 2024 1:30:21 PM

~Aperport機能紹介:受注会社として使用する評価自動依頼機能および発注会社として使用する評価機能~

本記事ではAperport(アペルポート)の評価機能の概要と、画面設計・機能設計の意図・背景をお伝えします。

評価自動依頼機能は受注会社が、Aperport上で成約に至った発注会社に対して、受注会社の提供するサービスに対して評価を自動依頼する機能です。

評価機能は発注会社が、エンジニアが所属する受注会社に対して、受注会社の提供するサービスに対して評価を行う機能です。

評価自動依頼機能および評価機能には以下の5つの目的があります。

  • 受注会社による評価依頼の自動化を通じて、PDCAサイクルを確実に回す
  • 受注会社からエンジニアに対するフィードバックを支援する
  • 受注会社の個別のサービスに対する評価情報の社内共有
  • 推薦機能や、関係性管理機能の基礎となるデータの蓄積
  • 全ての既存パートナーで共通の評価指標を用いることで、相対評価を実現する

 

評価に関する機能

評価自動依頼機能・評価機能

評価自動依頼機能は、Aperport上で契約の締結が登録された取引に関して、受注会社から発注会社に対して自動で評価の依頼を毎月の1日(ついたち)にメール送付する機能です。

メールを受け取った発注会社のプロジェクト責任者は、ウェブおよびモバイルのブラウザから回答をすることができます。

評価項目としては、全体評価、個別評価、関係性評価の3つがあります。

全体評価

QCDに関する全体評価です。

コストに見合うパフォーマンスが発揮されているか、提供サービスの質への満足度、納期内に成果物をだせているかなどの質問があります。

個別評価(業務遂行程度)

募集ポジションで定義したスキルごとに役割・工程、技術、ドメイン知識を評価します。こちらは、すべてのパートナーに対して全く同じ質問内容となるのではなく、個々の現場で求められているスキルに応じて、自動で質問内容が調整されます。

関係性評価(チーム目標達成への貢献度)

自分一人に割り振られている業務の遂行にとどまらず、チーム全体の関係性を豊かなものにして目標達成のために必要な行動をとれているかどうかに関する質問です。

評価情報共有機能

評価情報共有機能は、発注会社の全メンバーで共有されます。



また、受注会社の営業として登録されている全メンバーにも共有されます。

エンジニアに対しては直接情報共有はされません。

評価機能は受注会社のサービスに対する評価であるため、評価を行う主体である発注会社側と、評価を受ける主体である受注会社に対する情報共有のみをAperportでは実現しています。

他方で、エンジニアに対するフィードバックについては、すぐにできるものは現場で共に業務遂行をする中で伝えられているという前提にたっています。しかし、現場で直接エンジニアにフィードバックを伝えてもなかなか改善がされない場合や、エンジニアに対する感謝の気持ちを受注会社の営業経由でも行いたい場合に、評価機能をご活用いただけます。

また、評価はあくまでもサービスに対して行うものであり、受注会社内での人事に関わるような評価を行うことはできません。そのため、エンジニアに対してどのようなメッセージを伝えるかについては、受注会社側で判断をする必要があるため、Aperportではエンジニアに対して直接評価結果を送付することは行っていません。

SIer業界において評価の運用が難しい理由

SIer業界においては、顧客であるSIerに対する満足度調査が行われていません。

理由としては、以下の3つが考えられます。

  • サービスの内容および給与決定根拠の多様性
  • 定期的な取り組みの負担
  • 顧客満足度の改善意識不足

サービス内容の多様性が評価を困難にする

SESおよびエンジニア派遣サービスのサービス内容は、顧客の各プロジェクト毎にカスタマイズされたものとなっており、顧客の担当者との関係性もプロジェクトによってさまざまであるため、一律に顧客満足度調査のアンケートを取ることがはばかれることが考えられます。

また、ほとんどのパートナーがアンケート調査を行っていない中で、自社だけがアンケートをとることで、顧客にとっての負担になるのではないかという点を懸念して継続できなくなることも考えられます。

他方で、サービスの内容が多様であることは、給与の報酬額の決定の根拠も多様であることを意味しています。顧客から得られた評価情報は本来であれば給与に反映させるのが望ましいですが、元々の給与の決定根拠が多様であるため、評価情報の扱いが難しい場合があります。結果的にうまく活用ができないのであれば、そもそも評価を顧客に依頼するという行為自体を後回しにしてしまう可能性があります。

定期的な取り組みの負担が大きい

顧客に対してどの頻度でどのくらいの期間送り続けるのかというのは受注会社の営業として配慮すべき点になります。仮に顧客満足度調査が大事だということが明白だとしても、毎月送る必要はありません。先月と特に変わらないという場合に、顧客側で同じ内容を入力するだけだということが予測できるため、お互いマンネリ化してしまう可能性があります。

しかし、顧客がアンケートに対して返信をした場合、返信をしなかった場合など、それぞれの場合を加味しながら、最適なタイミングでアンケートを送付するとなると管理が煩雑になり、各営業担当に任せる業務としては過度な負担となります。

顧客満足度の改善意識不足

固定報酬という制約

受注会社の営業およびエンジニアにおいては、一旦契約がきまれば契約通りに毎月固定の報酬をもらえることになるため、発注会社の期待とずれていく可能性が大いにあります。これは固定報酬の場合には必然的に起こりうるものです。

しかし、エンジニアの開発業務に対して成果報酬などのインセンティブをもたせることは業務の性質上、および慣習上適合するものではありません。

したがって、以下に顧客ユーザーとしても求めている「固定報酬」を維持しながら、受注会社の提供サービスに関して継続的な品質向上を促すかが重要な課題になります。

評価自動依頼機能・評価機能が目指すところ

Aperportの評価機能は、上記の受注会社における3つの制約を乗り越えつつ、さらに発注会社にとって次の目的を実現するための設計をしております。

  • 受注会社による評価依頼の自動化を通じて、PDCAサイクルを確実に回す
  • 受注会社からエンジニアに対するフィードバックを支援する
  • 受注会社の個別のサービスに対する評価情報の社内共有
  • 推薦機能や、関係性管理機能の基礎となるデータの蓄積
  • 全ての既存パートナーで共通の評価指標を用いることで、相対評価を実現する

PDCAライフサイクルを確実に回すための仕組みの提供

PDCAサイクルが回らない理由は、上記3つの制約があり、受注会社の営業が顧客満足度調査の依頼をためらったり、継続できないことにあります。

そこで、顧客満足度調査の依頼行為そのものを営業の裁量に任せずに、自動でアンケート調査を送付する仕組みとすることで、営業の負担を減らしつつ、PDCAを回してサービスを改善するためのコミュニケーションのきっかけを作ることを目的としています。

なお、アンケートの自動送付の頻度・タイミングについては、Aperportで契約締結をご登録いただき、プロジェクト参画をしてから1・2・3・5・8・13・21カ月後にメールを自動送付するという仕様としております。

これにより、以下のメリットがあります。

  • プロジェクト参画後直後は綿密に双方の方向性やインセンティブのすり合わせを行う必要があり、1,2,3カ月連続で評価依頼を実施できる。

  • プロジェクト内で一定のパフォーマンスが出せるようになり、特別な事情変更がない限り退場のおそれがない状態に至ってからは、5・8・13カ月後に少し間を開けながら適宜確認することができます。

  • プロジェクト参画後21カ月後を目途に評価依頼メールの自動送信を停止します。個別のケースでは21カ月よりも前にプロジェクトから抜けている場合もありますが、抜けた後の事後評価が可能になります

現段階では、任意のタイミングで評価依頼メールを送付する機能は設けておりませんが、要望に応じて対応させていただく予定です。

受注会社の営業からエンジニアへのフィードバックの支援

ご存じの通り、受注会社の営業や経営陣は、エンジニアを評価することに苦労しています。なぜならエンジニアが常駐型のサービスで顧客の側にいるため、営業や経営陣が人事の一環として評価を行おうとしても、評価の基となる情報を持ち合わせていません。

そこで顧客から得られる情報に頼るしかなくなりますが、顧客が忙しいことに配慮すると、毎月時間を確保してもらいフィードバックを受けることを躊躇してしまいます。いかなる打合せであっても、打合せにより新しい情報を共有し、新たなアクションにつなげなければ形骸化してしまうため、うまくいっているときは顧客から追加の情報を共有するインセンティブが低くなります。逆にうまくいっていないときは、改善を求めるため情報共有のインセンティブが高まります。

結果的に、エンジニアにとってポジティブなフィードバックは顧客が意識的に営業に対して行わない限り、営業は情報を取得することが難しくなります。

Aperportで顧客満足度調査を自動化することにより、顧客に負担をかけることなく受注会社としてフィードバック情報を得ることができ、エンジニアへの評価やフィードバックにつなげることができるようになります。

エンジニアとしても毎日の努力が報酬の形で反映されるか、顧客に頼られているということを直接または間接的に耳にすることで自信を深めていくことができるため、エンジニアのエンゲージメントを高めることにも役立ちます。

発注会社内における評価情報の共有

発注会社としては、受注会社のサービスに対する評価情報を蓄積し、将来に活かす必要があります。なぜならば、この評価情報は、競合他社が容易には獲得できない稀少なものになり、競争上の優位性を確保するために必要なリソースとなるからです。

仮に受注会社のサービスに関して、良くない評価であり、しかも受注会社の営業が適切に行動に移してくれない場合であっても、そこで評価をした行為が無駄になることはなく、発注会社の内部で共有されるため、将来社内の同僚が有効活用することができます。

推薦機能や関係性管理機能の基になる情報の蓄積

受注会社のサービスに対する評価情報は、個別の文脈に限定されたものであるため、即座に会社全体の評価に直結するわけではありません。

しかし、サービスに対する評価、営業の対応に対する評価、会社全体の経営方針などを総合的に判断して会社としてパートナーとの関係性を管理していく必要があります。Aperportにおいては関係性管理機能も用意していますが、評価機能はそれを支える情報を蓄積することになります。

また、Aperportにおいては推薦機能も用意していますが、評価機能の蓄積により、より適切な推薦内容の作成ができるようになります。

全てのパートナーに対する統一の評価指標の導入により相対評価を実現

SIerの中には様々なプロジェクトがあるため、絶対的な基準を設ける絶対評価はなじみません。

これに対して、相対評価であれば、取引金額・受け入れ人数などの定量評価に加え、顧客の満足度向上にどれだけ貢献できたかをはかることができます。

Aperportで統一の評価指標を導入しつつ、これをパートナー間で比較して相対評価を行い、比較的高い評価を得ているパートナーに対しては優先的に案件を紹介するような運用を仕組化することで、パートナーに対して適切なインセンティブを設計することができます。